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「健康支援が企業を変える!」グッドコンディションサポート部が目指す未来の働き方とは?

企業の成長と従業員の健康は、どのようにリンクしているのでしょうか?今回のインタビューでは、LINEヤフー株式会社のグッドコンティションサポート部加茂様(写真左)と鈴木様(写真右)に、同社が推進する健康経営の取り組みと、特に注力している女性の健康支援について詳しくお話を伺いました!


企業プロフィール

  • 社名: LINEヤフー株式会社

  • 業種: 情報・通信業

  • 従業員数: 連結で約28,000人(2024年3月時点)

  • エリア: 本社は東京都千代田区紀尾井町に所在し、サービス提供は約230の国と地域に及ぶ(2023年8月時点)


ご担当者様情報

  • 人事総務統括本部 グッドコンティションサポート部 部長 加茂 隆 様

  • 人事総務統括本部 グッドコンディションサポート部 鈴木 麻未 様


ご導入頂いたサービス

「ライフステージの健康課題と仕事に関するQ&A集」


グッドコンディションがグッドパフォーマンスを生む

グッドコンディションサポート部様としての全体の目標やKPIにはどんなものがありますか?

加茂様:全体の目標というか、我々の活動の意義みたいなものなんですけど、やはり従業員の健康が大前提にあります。なぜかというと、私たちは「グッドコンディションがグッドパフォーマンスを生む」と信じているからなんです。

そのために、さまざまな指標を取り入れています。ただ、最終的な私たちのビジョンとしては、会社がサポートしなくても従業員が自分自身の力でコンディションを整えられるようになることです。自ら進んで、セルフケアや体調管理を当たり前のように行える文化を目指しています。


なので、私たちの活動を通じて従業員の皆さんの健康リテラシーを高めたいと思っています。例えば、自分の体調に少し変化があったときに「こうすればいいんだ」と適切な対処を自分の意思でできるようになってほしい。今回のインタビューでお話しする女性の健康支援も、その中のひとつに過ぎません。私たちが目指している大きなゴールは、全ての従業員が自分自身でセルフコンディションを整えられるようになることなんです。

セルフコンディションを強化する具体策!従業員アンケートとウォーキングの成功事例

従業員の皆さんのセルフコンディションマネジメント能力を上げていく上で、例えば「従業員さんにこういう行動をしてほしい」や「何パーセントの人にこういう行動をしてほしい」という具体的な目標はありますか?

加茂様:具体的な目標というより、例えば弊社では、従業員とのコミュニケーションツールをたくさん持っています。いわゆる一般的な企業さんでいう「ES調査」みたいなものがあるんですけど、特にコロナ禍以降は、従業員にいろいろなアンケートを実施して、「今の体調はどうですか?」とか「働きやすいですか?」といった項目を聞いてきました。


その中で、運動習慣を持っている方が相対的にパフォーマンスが高いということが数値としてわかってきたんですね。なので、これは弊社の健康施策の定番になっていますが、従業員の皆さんに「ぜひ歩いてください」とお願いしています。ウォーキングを通じて体の健康を整えることで、より良いパフォーマンスを発揮できるということを訴求しています。


さらに、その取り組みを後押しするために、歩数に応じてポイントが付与される仕組みや、チームで参加できるゲーム感覚の要素を取り入れました。それによって、現在では従業員の60~70%が参加するウォーキングイベントを実施できています。このイベントは非常に良い軌道に乗っていて、今後はさらに第2、第3の柱を作っていければと思っています。


従業員の60%以上が参加!ウォーキングイベントを成功に導いた3つの秘訣

歩数を競うイベントは他の企業さんでもよく耳にしますが、なかなか参加率が上がらないという話をよく聞きます。それでも御社では過半数以上の従業員が参加しているというのは素晴らしいことだと思います。その成功の秘訣を教えていただけますか?

加茂様:少し手前味噌な話になりますが、やはり仕掛けを作る側が非常に上手だったというのが大きなポイントだと思います。一つ目は、先ほどお話ししたように、歩数に応じてポイントを渡すというインセンティブ要素を取り入れたことです。二つ目は、チームで協力して「チーム戦」にすることで、グループ全体でゲーム感覚を楽しめるようにしたことです。


例えば、同僚同士で「私たちのチーム、今何位だろう?」といった会話が自然と生まれるような仕組みを作っています。こうした取り組みによって、楽しく参加してもらえる雰囲気が醸成され、結果として多くの従業員が取り組んでくれています。


また、会社から「歩きなさい」と指示されると、どうしても「やりたくない」と思われがちですよね。そこで、「歩くことでこんな良いことがありますよ」という形で、仲間意識も育てながら進めたことがうまくいった要因かなと思います。

楽しみながら参加してもらう仕組みを作るというのは、すごく重要なポイントですよね。特に継続して取り組んでもらうためには、どういう工夫をされているのでしょうか?

加茂様:そうですね、やはりいかに継続してもらえるかが大事だと思っています。一度きりで終わるのではなく、少しずつハードルを上げていくという工夫をしています。


例えば、最近では「6,000歩を目指してください」といった設定をしているのですが、実際6,000歩を毎日意識的に歩くのって、なかなか大変なんですよね。最初は4,000歩からスタートしましたが、それでも「大変だな」と感じる方が多かったんです。でも、皆さんすごく楽しんで取り組んでくださっています!ゲーム感覚で進めることで、「やらなきゃ」ではなく「やりたい」という気持ちで続けてもらえているのがポイントかなと思います。

女性の健康支援を当たり前に!リテラシー向上と行動促進の挑戦

ウォーキングが主軸となっている現在、今後新たな取り組みや「第2、第3の柱」を検討されているとのことですが、女性の健康支援の分野で特に注力していきたいポイントや目指す方向性があれば教えてください。

加茂様:女性の健康支援については、まだまだ特別感があるというか、「特別なことをしている」という印象を持たれているところが課題かなと思っています。最終的には、そういった特別感をなくして、誰もが自然に健康支援を受けられるような環境を作りたいと思っています。


鈴木様:具体的には、女性の健康リテラシーを高めることが重要だと考えています。セミナーなどを実施した際には、「もっと早く知りたかった」といった声を多くいただきます。まずは基本的な知識を100%の従業員に届けることを目指しています。


ただ、知識を得ても、実際にアクションを起こせる方はまだ少ないという課題があります。例えば「婦人科に行きましょう」といった呼びかけをしても、そこまで行動を起こせない方が多いんですよね。なので、知識を得た上で具体的な対処行動を取れるように啓発を続けています。

アンケートで健康意識を高める!セルフケア促進の具体的アプローチ

確かに、知識があっても行動に移すのは難しいですよね。そのあたり、具体的な施策や取り組みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?

鈴木様:そうですね。例えばアンケートを実施することで、「自分の体調にどのように対応しているか」を確認してもらう仕組みを作っています。そのアンケートに答えること自体が、気づきや啓発につながるようになっています。

また、セルフケアの一環として「普段の食生活を見直しましょう」や「休養をしっかり取りましょう」といった提案も行っています。ピルなどの医療的な支援もありますが、それ以前にできることを知り、その中から自分に合った対処法を選んでもらうことを大事にしています。

その取り組みの背景にあるデータや根拠などはありますか?

鈴木様:はい、参考にしているのは2018年のデータで、女性の健康リテラシーに関する調査レポートがあります。このレポートによると、女性のヘルスリテラシーが高いほど、自分の望むキャリアを築けたり、何かトラブルがあった際にも適切に対処できる可能性が高いという結果が出ています。


私たちは、この調査結果を非常に説得力のあるものと捉えています。そのエッセンスを取り入れたアンケートや啓発活動を行いながら、従業員が自分自身の健康について深く理解し、必要なアクションを取れるような環境を整えることを目指しています。

なるほど、非常に参考になるお話です。こういった取り組みを行う中で、他の企業でも参考になる事例や、共通する課題などはありますか?

鈴木様:そうですね。他の企業でもよく耳にするのは、女性の健康に関する施策やアンケートを始める際に「いきなり女性のことだけを聞くのは抵抗がある」といった懸念です。その結果、なかなか女性特有の健康課題に踏み込めないケースもあるようです。


私たちの場合、2016年に業務時間中のセミナーとして、更年期に関するセミナーを実施したことがきっかけでした。その際、業務とは少し離れた健康に関するセミナーも、意外と受け入れられたことが大きな第一歩になりました。その後、2017年には生理休暇制度に関するアンケートを実施しました。このように段階を踏むことで、少しずつ社内での理解を深めていった経緯があります。

「F休」と不妊治療支援。公平性を保ちながら充実させる秘訣

徐々に理解を深めていくというアプローチは非常に参考になりますね。生理休暇といえば、御社は生理休暇の名称を「F休」に変更されていますよね?それによる変化や成果について、どのような反響があったのでしょうか?

鈴木様:はい、名称を変えたあとに行ったアンケートでは「F休を利用したことがある」という人は生理休暇だったときよりも増えました。それまでは「生理の日にしか使えない」と思われていたものが、「通院」や「対処のために使う」こともできるという柔軟な選択肢を提供できたのが大きかったと思います。例えば、前日に仕事を調整して翌日休むといった形は周囲に迷惑をかけたくない人にも使いやすくなりました。


ただ、これは毎月全員が利用してくださいという意味ではなく、本当に必要な時に使える環境を整えたかったんです。結果として、「本当は使いたかったけど、使いづらい」と感じていた方々が少しでも利用できるようになったことが成果だと思っています。

そうした制度の変更や新しい支援策を取り入れる際、他の従業員から「不公平だ」といった声が上がることはありませんでしたか?

鈴木様:確かに、そのような声が出る可能性はあります。でもそれは禁煙補助のような制度でも同じです。「吸っていない人には何もないのか」という話になるのと似ていますね。でも、必要な人に必要なサポートを提供するという考え方が大事だと思っています。


例えば、車椅子のレンタルが必要な方が使えるサービスについて、「歩ける人も使わせてほしい」と言うのは合理的ではないですよね。それと同じで、F休や不妊治療の補助も、必要な人が利用できる環境を整えることに意義があります。


もちろん、そういった意見が完全に消えることはないと思います。ただ、「必要な支援があるからこそ、全体のパフォーマンスが上がるんだ」という考えを繰り返し伝えることが重要だと思っています。

なるほど。「必要な人に必要なケアを」というのは非常に納得感のあるお考えですね。では、もうひとつ伺いたいのですが、不妊治療の支援についても、他企業より先進的な取り組みをされているように感じました。その点についても詳しくお聞かせいただけますか?

鈴木様:不妊治療の支援に関しては、弊社が合併を経験した際、もともと2つの会社が持っていた制度を組み合わせて、さらに充実させた経緯があります。一方の会社では費用補助があり、もう一方では休暇制度が整っていたので、その両方の良いところを統合した形で運用しています。


ただ、やはりどんな制度にも「不公平ではないか」という意見はつきものです。それを防ぐために、全従業員が参加できるようなウォーキングイベントや健康支援プログラムを同時に充実させることで、「特定の人だけが得をしている」という印象を軽減しています。


働く全ての人に役立つ!コミュニケーションガイドブックの作成背景と狙い

女性の健康関連での具体的な取り組みの一つとして弊社の「コミュニケーションガイドブック」も導入いただきましたが、これを導入された背景や理由を教えていただけますか?

鈴木様:はい。まず、コミュニケーションガイドブックを導入した理由ですが、当初から「従業員それぞれが、自分に合ったケアを見つけ、上司や同僚と適切にコミュニケーションを取れるようになってほしい」という思いがありました。


女性の健康に特化した取り組みを進める中で、セミナーや啓発活動を行ってきましたが、どうしてもその場限りで終わってしまうことが多かったんですね。そこで「困ったときにすぐ見られるものが欲しい」という要望もあり、ガイドブックの作成に至りました。


鈴木様:また、女性の健康だけでなく、男性の健康や介護といったテーマにも対応できるようにすることで、関係者全員が使いやすい形にカスタマイズしました。ガイドブックの内容には、専門家の監修も入っているため、従業員が安心して利用できるものに仕上がったと思っています。

ガイドブックにどのような成果を期待されていますか?

鈴木様:一番の目的は、従業員が自分の状態を正しく把握し、それを職場でのコミュニケーションに活かせるようになることです。具体的には、自分の体調や必要なサポートを上司や同僚に適切に伝えるスキルを身につけてもらいたいと考えています。ガイドブックを活用する際、特に大事だと思っているのは、自分の体調や健康について説明する能力を身につけることです。


例えば、上司や同僚に自分の体調や必要なサポートを適切に伝えるには、ある程度の知識や言葉が必要です。そのため、ガイドブックを通じてコミュニケーションのスキルを向上させることも期待しています。

また、このガイドブックは、ただのマニュアルではなく、ライフステージ全般に関わる内容になっています。これにより、特定の層だけでなく、全ての従業員に関連性を感じてもらえるものに仕上がったと思います。


健康支援の継続が会社を変える!グッドコンディションサポート部の未来ビジョン

ライフステージ全般に対応しているというのは、幅広い活用が期待できそうですね。それでは、今回ガイドブックを導入したことに対する従業員からの反響などがあれば教えていただけますか?

鈴木様:はい、導入したばかりなので、まだ詳細な反響データは取れていませんが、リリース直後のアクセス数などは順調です。現在は、Eラーニングのプログラムに組み込む形でガイドブックを活用しています。また、研修やアンケートにも連動させることで、少しずつ認知度を上げていきたいと考えています。

ありがとうございます。少しでも多くの方にご覧いただけたら嬉しいです。それでは、最後に、今後のビジョンを簡単にお聞かせいただけますか?

加茂様:はい、やはり「継続は力なり」だと思っています。最初は社内で理解が得られにくかった部分も、寄り添いながら一歩ずつ進めることで、ここまで成長してきました。この活動をさらに続けていき、「健康支援が当たり前の文化」を築いていきたいです。


また、こうした取り組みを通じて、一人でも多くのリーダーが育ち、全社的な健康意識がさらに高まることを願っています。これからも、全従業員と一緒に並走しながら進んでいきたいと思います!

インタビューは以上になります。ありがとうございました!

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